バーミヤーン東大仏「足」再建問題
バーミヤーンの東大仏の足の再建問題は世界中から注目されています。

遠い国(アフガニスタン)で、他国(ドイツ)が実施したことと、日本人には関係ないように思いますが、このまま再建がなされてしまえば、これまでの「再建」の定義や「世界遺産の価値」、ひいては「文化」の定義を変えてしまう局面です。

せっかくなので、少し真面目に説明を加えると、
 壊れた歴史的建造物を「再建」する場合、1965年採択のベニス憲章第15条に定義されたアナスタイローシス(Anastylosis)によってのみ許されるとあります。これは現地に残っているが、ばらばらになっている部材を組み立てることだけは許されるということを意味します。2001年にタリバンによって爆破された部材は到底再組立てできません。
 現在、ドイツICOMOSは現地の人々が望んでいることを理由に、以前の大仏の足を模造しています。(国にそれぞれICOMOSがあり、世界文化遺産に関する諮問機関であるICOMOS内でも意見が違います)。もちろん、構造の問題や、そもそも大仏の足の部分は既に1969年にインド隊が再建したものであるなどありますが、そこに同じようなものがあったからという理由で新しく造りなおした場合、それは本物である=真正性(Authenticity)があると言えるでしょうか?
 もしも、今回東大仏の足の再建が進み、それが「真正性がない」となった場合、世界遺産としての価値を損なうことになるので、バーミヤーンは世界遺産の登録リストから抹消されることになります。しかし、それが「真正性がある」とした場合、これが今後の世界の「再建」を定義づける前例となります。オリジナルの部材を使わず、伝統的な工法でもつくらず、過去あったものと似たものを再建するだけで「真正な再建」とされるとなれば伝統建築物の価値観が変わります。これが、いかに世界にとって衝撃的なことか、建築に関わりのない方でも想像が付くと思います。
 もちろん、ドイツ側にも言い分があり、少し極端な書き方だったかも知れませんが、文化の定義を変えうる一局面ともなる事例です。もし、興味があれば、いくつかニュースを読んで頂ければと思います。

http://www.theartnewspaper.com/articles/Unesco-stops-unauthorised-reconstruction-of-Bamiyan-Buddhas/31660
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[2014/04/24 23:39] | 建築・都市コラム | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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