イタリア日誌-81「ヴェネチア/街の質」
ヴェネチアの街中では、中国人観光客が何処にでもいる。それによって、バーや土産物屋の店主やウェイターも中国人に変わってきている。

何も国で差別するわけではなく、何国人が営業しててもよい。しかし、問題はウェイターの姿と店のデザインがヴェネチアにそぐわないほど「ださい」ことだ。バーに立つ以上、きちんネクタイとベストを付けてキリッと立ってほしい。お客が入ったら笑顔で迎えてほしい。バーの窓に手書きで汚らしく貼付けたメニューや値段表、目立ちすぎる宣伝、ピカピカ光る看板、内部の飾りも酷い。もしも過去のオーナーから譲り受けた店内の備品がなければ、もう目も当てられないだろう。商売はすぐに始められるけれども、美的センスってのはなかなか身に付かないものだ。

たとえ日本人でも、くたくたのスーツの服を来ていたサラリーマンが突然イタリア料理店を開いていても、インテリアは格好悪くなりそうだ。イタリア人のバーのセンスがズバ抜けているだけにその落差が際立ってしまう。


 土産物屋も問題だ。目立つ黄色などで値段をデカデカと貼付けてある。もっと深い問題はイタリアとも全く関係なく中国で作られた粗悪な工業工芸製品が並んでいることだ。品物を買うのではなくて、安い値段が書かれている値札を買うかのようだ。観光客の目利きにもよるのだろうけれど、最高級品のレベルはともかくとして、こんなものと競合しないといけない伝統的な工芸品の職人はいずれやっていけなくなるだろう。

 10数年前に初めてベネチアに訪れた。その当時、ベネチアは恐ろしく値段が高く、旅行者にとって非常に敷居が高かった。その後、近年どんどん中国人やトルコ人などが街に入って店を開いている。もちろん、不当に暴利を貪っていたイタリア人経営のレストランが淘汰される良い側面も有る。しかし、10年前に比べて美的な観点で言えば、街の景観が酷い状況になっているように感じる。景観ってのは、ただ単に同じ建物があればいいっていうわけじゃない。その街にはその街にふさわしいイメージがあって、僕たちはそれを楽しみに来ている。街のイメージを保つ為には、その街にあるセンスというか、共通の価値観をもった人間がきちんと運営する必要がある。それがそれが保てなくなったのならば、ルール化して質を保つ努力をしなければならない。また、新規/既存含めてダメなところは指導していく必要があるだろう。

残念ながら、そろそろベネチアもそんな時期が来ているように思う。
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[2012/11/16 06:36] | イタリア | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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