エミリア•ロマーニャ州地震レポート4
今回の震災の大きな被災地の1つであるFinale Emiliaに行ってきました。Finale Emiliaは人口16,072のコムーネで、(5月20日から始まる、2つ目の大きな地震(5月29日)の地震で大きな被害を受けた街です。
3時間程度の滞在でしたが、現地の方やボランティアの方、キャンプ運営者など人に話を聞きながら現地の状況を把握してきました。


■現地までの風景

 農家の古い家屋や物置場が大破しているのが点々していますが、近年20~30年に建てられた建築に関しては外見上は特に問題が内容に思われます。屋根の下の角部が地震の応力と屋根の重さも手伝って、内部の柱と梁の結合部が鋭角になって崩れているようでした。建物が壊れていない住宅でも、庭にテントを張ってあるのを見る限り地震に対する恐怖は薄れていないようです。また、大規模に崩壊している工場(倉庫)もありました。
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当初から大分弱まっていた建物が地震で一気に倒れたという印象



■Finale Emilia のキャンプ場

 現在、5つのキャンプに2200人が避難していること。これらのキャンプでは8人が入れるテントが Protezione Civileによって設置運営されています。避難民の条件としては自分の住宅が住めないと専門家(消防、エンジニア※構造家 )に認定された方が入っています。1つのテントには1家族が原則ではあるが、1、2人世帯の場合、何世帯かで一緒にテントに入ってもらっているとのこと。足りていないものは無いとのことで、落ち着いて生活出来ているとのこと。ただし、このテント生活がいつまで続くのか、続けるのかは決まっていません。
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キャンプ1の入り口。

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キャンプの看板。責任者やルール等が公開されている。


 当面キャンプ場に困っていることは無いが、小学校の建物が危険なので9月から再開される授業がどうなるか心配だという声を、キャンプの責任者より話を頂いた。



■ボランティア

Protezione Civile 等登録されたアソシエーションが入って運営しています。(この点は話を聞く人により異なり、いまいち不明) キャンプ村はアソシエーションが運営し、1週間ごとに内部でボランティアメンバーが入れ替わる仕組みになっている。基本はこれまでにアソシエーションに加わっていた人間が、ボランティアとして現地入りしているが、現地でも直接来た人間を採用する場合もあるとのこと。建物内部には現地に住んでいた人、モデナから来た人など近郊が多いがイタリア中から来ていました。
 アルピニストのグループ、退役軍人のグループなど登録アソシエーションは色々です。

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■自主的避難キャンプ

 街の中には多くのテントが張られていました。避難者に話を聞いてみるとこれらは自主的な避難テントだということです。「家はあるが夜は地震が恐いので夜に集まって外で寝て、一緒に夕食を取る。公式の避難テント場は老人の為であり、街中の自主的避難所には若者が多い。新聞で報道されている避難者には、自主的避難民は数に加わっていない。(テント生活をしている被災者はテント村が把握している2200人より1000人ぐらい多い可能性がある) ここではコムーネからは(公式避難所で受けているような)何の援助もない。現在、特に困っていることは無いが、電気が無いことが不便である。その援助が欲しい。Protezione Civileが7月の終わりぐらいに自体は収束する(地震の可能性が減る)というので、とりあえず、それまではテント暮らしをするだろう」との事です。
 
 私の目からは野外で寝るのは不必要にも思える部分もありますが、怖がっている仲間と共に避難生活することもコミュニティの大事なイベントのようです。それは否定することではなく、私は良いことだと思います。自主的避難所の近くにはバーなど、仮設店舗も立ち始めています。
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どこかでみたことある風景と思ったら戸山公園ですかね。


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共同の食料

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近くにはバーなども設置されている。

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話を聞いた人々。文句を言いつつも現状を受け入れているようだ。若い人たちがたくさん集まって、夜は一緒に食事を食べるのだという。イタリアの地元コミュニティは強い。厳つい格好をしていても、やっぱり地震が恐いらしい。


■街中の被害の様子。
 いくつもの道が危険のため通行禁止になっています。住民もその区画からは追い出され、避難を余儀なくされています。金網にはいくつもの情報(店が開いているかどうか等)が張られています。
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案内が張られた金網

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大きな損傷を受けた建物は安全のため取り壊しが始まっている。

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プレファブの仮設店舗


■歴史的建造物の被害
 多くの歴史的建造物の被害が出ています。地震後に半分だけ残ったシンボル的な時計台も本日行ったら解体されていました。無惨にも破壊されたCastello delle Roccheです。これらの修復には多大なお金、多大な研究時間と再建のための時間がかかります。今回の地震以前のイタリア各地の街の修復も済んでいない状態で、本当に予算がつくのか疑問です。
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シンボルの一つのお城で古い歴史を持つ。

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崩壊した時計塔。この街のシンボルで、最も古い建物だった。よくテレビに映っていたものです。

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元の姿と、途中段階の写真(webより)

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崩壊した歴史的建造物の対面にある建築は全く問題ない様に見える。街中にある建築の年代によって、耐久性に大きな違いがあることがイタリアの地震災害の特徴と言えるでしょう。


■想定される問題点
 行政や都市計画側からの話が聞けていないので何とも言えないが、Protezione civile nationaleから安全宣言する予定の2ヶ月後から、どうなるかを余り想定していないようでした。仮設住宅がいくつ必要になるのか想定が出来ていないのではないでしょうか。テントではプライバシーも少なく、困難です。今後避難生活の為のプレファブ住宅も想定されているのかすら分からずでは住民は不安です。少なくともキャンプの責任者には知らされていません。世帯に1つの住宅と考えて、単純に考えてテント以上の数の仮設住宅が必要になります。何処からどう仮設住宅を調達するのか、イタリアのことですから、これからが非常に遅い動きになるでしょう。日本も昨年の大震災で使った(もしくは使わなかった)プレファブ住宅が輸送出来る様になっているでしょうから、これらを輸送するだけで十分協力出来るかと思います。イタリアは政治的な問題で簡単には仮設住宅ですら建ちませんので、今から輸送しても十分間にあうでしょう。
 
 本設に関しても、地震被害のあったラクイアのように、歴史的な建造物の再建の為の研究にも実際の建設にも非常に時間がかかります。そもそも、そのプロジェクトが執行されるかどうかも分かりません。通常の住宅であっても予算がついて執行するまでに非常に時間がかかります。例えば2002年に地震が起きたモリーゼ州の村々では未だに修復が進められています。それも10年間ずっと修復しているというのではなく、2012年に予算がついて、工事を始めたという住宅も多く見られました。そんな中、エミーリア•ロマーナ州の街中をどのように再生していくか、もしくは箇所によっては適切に諦めるのかも、専門家の中では議論になりそうです。
 
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[2012/06/21 09:02] | 震災復興 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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