イタリア日誌16-「コンビネーション」
 初めて生ハムメロンを食べたとき、これを生み出した奴は僕は天才だと思っていた。

しかし、なかなか日本ではこの味には有りつけない。塩気のあるプロシュートと、濃厚に熟した甘みのあるメロンとが組み合わないとこの味はだせない。日本ではこの2つを揃えるのは至難の業だ。有名デパートであっても時期も選ばないといけないし、ハムも種類を知らないと手にはいらないだろう。今回、イタリアで新しく感動したのが、メロンのプロセッコポンチ、要するにメロンを切ったものをシャンパンに1時間ほど浸けただけ。しかしうまい。シャンパンがしみ込んだメロンは、甘く、しかし、プロセッコのさらっと、かつキリッっとした強さを内に秘める。
この2つは濃厚×濃厚と濃厚(サッパリでも可)×サッパリと組み合わせ方は違うけれど、やはり、食事は組み合わせ(マリアージュ)が大事だと思わせてくれる。

s_女心と生ハムメロン

The 生ハムメロン


イタリア料理といっても地方地方によっても食も変わる。当然味付けも変わる。けれど味は常にコンビネーションで成り立っているというのが面白い。たとえば、山岳都市のペルージャでは塩が貴重品なので、パンに塩気がなく、それだけ食べてもお世辞にもおいしくない。一方でこの地方の生ハムなどは非常に塩気が強く、この塩気のないパンと併せて食べると、これはこれでおいしい。


 デパートでトスカーナ地方(例えばペルージャ)のハムだけ食すと「味が濃いなぁ、あまりおいしくないなぁ」なんて思うかもしれない。けれど、それは誤解だ。繰り返すが食材の組み合わせが大事なのだ。

 トスカーナ地方の赤ワインはイタリアのワイン中でもコクがあって、おいしいことで有名だ。これと先ほどの味の濃い生ハムにあわせると、トスカーナ地方のワインがこの生ハムの真の力を引きだし、力強さとまろやかさを兼ね備えた奇跡の一品に変える。組み合わせってのは、うまく出来ているものだ。その土地の料理は単品ではなくて、その土地のメニューに併せて食すことで初めてその真価が分かる。日本だって、刺身に醤油、日本酒。などなど日本の組み合わせを考えるでしょ。(山にウィスキーにチョコレートとか)

s_ferrara.jpg

写真はフェラーラ地方でのみ食す、パサパサ淡白味のくるくるの形をしたパン。
(こちらでは、濃い口スープが郷土料理なのでそれと合わせるのだろう)



 5年前ぐらいに酒好きな故に唎酒師という日本酒の資格の試験を受けたのだが、この試験では料理の相性を重きにおかれる。どの品種とか銘柄とかという蘊蓄とかより、なによりも今飲んでいる日本酒がどんな料理にあうのか適切に表現することが求められる。これはどの料理にもいえることで、自分の記憶から何と併せたらおいしいか常に考えることが重要だ。


 以前、イタリア人の友人に、「今日は約束通り世界で一番おいしいイタリア料理を食べさせてあげる予定だから、今日は好きなものを頼んで、食べてくれよ!」なんてごちそうになったことがある。


私「本当かい?でも、イタリア語もわからないし、難しいなぁ、何を選べばいいんだい?特にこのお店でおいしいとか、郷土料理ってどんなの?」

イタリア人「そうか、それなら」『パチンッ』(指を鳴らす)ウェイター!ちょっと料理を紹介してくれないかい?」

ウェイター「そうですね、シニョーリ、それでしたら、こちらのはこれこれ、こちらはこれこれで、とてもおいしゅうございますよ」

私「そうですか、どれもおいしそうだなぁ。では、アンティパストはこれで、プリモがこれで、セグンドがこれで」


ウェイター「かしこまりました」


イタリア人「ノン、ノン、rocky 。。。それは食べ合わせが悪いよ。だめだだめだ!それは認められない。これはこちらと、あれだとこちらにあわせないと、カメリエーラ(ウェイター)、交換してくれまえ」


私「、、、、、、、、(あれ?好きなものを頼めっていってなかったっけ?)







ようするに
まぁ、どの国だって食べるにあたっての流儀とか組み合わせがあるのだ。


日本人だって、刺身にソースをかける外国人とか、うなぎに梅干しとか、変な組み合わせで食べだす外国人がいたら思わず止めてしまうでしょ。それと同じだ。



 食べ合わせには、こんな面倒なことも多いけれど、それはなによりその土地のおいしい食べ方を得るため。奇跡的な組み合わせを得るためだ。
楽しみじゃないか!魅惑のイタリア料理!




もし、イタリアでいいものを食べたいと思うなら、お店の人に地元の料理でオリジナルコースをつくってもらおう。値段はちょっと高くなるかもしれないけれども、何も言わなくても、必ず満足する組み合わせで出てくるはずだ。
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[2011/07/19 01:15] | イタリア | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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