管首相の構想にもの申す
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高台に住宅地・エコタウン…首相が町づくり構想: 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) から引用
 菅首相は1日の記者会見で、東日本大震災の被災地復興に向け、「エコタウン構想」など、自ら描く街づくり計画を紹介した。
 首相は「山を削って高台に住む所を置き、海岸沿いの水産業(企業)、漁港等までは通勤する」「植物、バイオマス(生物由来資源)を使った、地域暖房が完備したエコタウンを作り、福祉都市の性格も持たせる」と説明。また、「漁業など1次産業の再生が重要だ」と訴えた。
 首相は、地元首長との電話で話した結果を踏まえた発案としており、有識者や地元関係者からなる「復興構想会議」でこうした青写真を取りまとめたい意向だ。
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とニュースにありましたが、非常に恐ろしい。一国の首相が発言することが、どれだけ力を持つかしっかり考えてほしい。



 今回の地震は広範囲に渡る。市街地、農村、小規模漁村、高台の有無、分類は様々だが今回の「丘上がり」や「エコタウン」ものだけで解ける場所はなく、解決方法も簡単なものではない。現実的に山がない場所もあれば、丘上がりは漁村関係者が何度も取り組むも達成しなかった政策であった。防潮マンションもそうだろう。必ず必要になるが被災者の共同建て替えは市街地化している中核都市以上(言葉の定義が曖昧だが)で、震災以前から進行している中心市街地の活性化のセットで考えるべきだ。(細かい提言や手法は絵をもってまとめていきたいので省略する。)

今回の管首相の言葉でどんな結果をもたらされるか具体的な姿を想像して欲しい。この事例は2005年福岡県西方沖地震で被災した玄界島の復興。一部では成功とされているし、僕も全てを批判するわけではない。

○震災前の姿
玄界島3
玄界島2
(いい写真が見つからないが、使いづらそうだけれどもなんだか漁村の生活感の魅力があった。)


○復興後の姿
玄界島整地
一旦すべてをクリアランス。今回の津波と同じ。

玄界島new2

管首相の言う通り、公共住宅を防潮マンションとして海側に建て、山を切り崩し、整地して住宅地をつくった。これが彼の言う復興の姿だろう。




見た人は違和感は感じないだろうか。
少なくとも僕にとっては好きだった日本の漁村の風景ではない。機能的な側面だけで説明してほしくない文化的な、愛着を僕たちは持っているのではないだろうか?




 言葉は強い力をもつ。「防災に強いから」という理由で一方的に話が進んでしまう可能性がある。これまでは高い防波堤をつくった。しらひげマンションのような高層の壁建築も作った。今度の震災の教訓によって→山を切り崩すのだろうか。防災のためという名目の元で山の木を切り崩す予算が私たちの知らないところで成立する。その一方でエコタウンという美談がいくつか作られる。(いくつか成功は必ず生まれるが、それのための予算を各者が奪い合う。しかし全体は解決できないだろう)全てやる予算もないだろうし、丘上がり、公共施設建設手法では限界があるのは明らかだ。


僕らはもっと大きな視点に立たねばないはずだ。
簡単には簡単に語れないが、必ず復興の軸にしなくてはならないのは

(1)(自然を押さえ込むのではなく、)環境と寄りそって暮らすこと。
(2)(行政ではなく)市民の力を信じること。
この2点だと僕は思う。

第一は被害にあった津波被害地を含む広大な東北の海沿いを「大きな環境軸」として捉え、その中に環境型市街地への再編や国立公園の拡張、防潮林の拡大、漁港への援助 等等(他多数)の事業メニューを組み込んでいくこれが基本路線だろう。

第二に「環境共生型都市(エコタウン)」というのは何もバイオマスを使ったり太陽光を使えばいいという短絡的なものではない。いかに住民が省エネルギーで暮らせるかという視点で街を再編することが必要になる。中核都市のコンパクトシティ構想に再編し直すとか、小規模の町村ではバスを市の運営で遠くまで出すよりは、市民サービス施設(市役所やバスターミナル、中心市街地等、福祉施設)を集約し、そこから市民事業による小規模の乗り合いバンを運行するなどでエネルギー消費を少なくすることが出来るだろう。市民サービスのオンディマンドもIT技術によって容易に可能になるだろう。市民同士の支え合いのサービスを作り、市民によって運営していく街を作っていかねばならない。現在行われている企業の社会的な貢献やNPOやボランティアは本来資本主義とは相容れない考え方だ。しかし、ジャックアタリの言う市民による「超民主主義」は既に芽生えつつある。市民同士でどう支え合って暮らすか、市民の力をどこまで信じるか。現段階では常識ではない考え方をもって街は再編されなければ、日本が持つ地方都市の根本問題は解決できないだろう。そして、夢のある世界だ。そしてこれは市民の方々とともに一緒に考えていき、まちづくりを進めなくてはならない。


小さなアイディアもそれを実現するアイディアは専門家の間で既にたくさん出ている。まだまだ表に出ていないだけだ。それを実現にして詰めて、一方夢のある構想として紡ぐ。僕らが構想している世界は、管首相が文字だけで語る「夢」よりもっと明るいものだと信じている。


雑文失礼。
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[2011/04/10 02:16] | 建築・都市コラム | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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