「なぜ日本の若者は自立出来ないか」「無縁社会」
書評メモ(雑記)

「なぜ日本の若者は自立出来ないか」岡田尊司と「無縁社会」NHK取材班を読む。この本の組み合わせで同日に読めたのが良かった。

“日本にコミュニケーションの苦手の人が増えたのは「発達障害」が増えたからではない。対人関係やコミュニケーションの訓練の場が不足している事が根本的な問題なのだ“
 日本の若者はコミュニケーションの訓練の機会を与えられず、貴重な時間が大量に画一的な5科目教育のために割かれている。どれだけ僕らは奪われ、喪失させられたのだろうか。僕らの世代が抱える不安感や疎外感を産みつけられてしまったとも言えるだろう。そして、それは今でも同じ教育によって子供の未来が奪われ続けている。

筆者は子供の特性を
(1) 視覚空間型
(2) 聴覚言語型
(3) 視覚言語
に分け、それぞれの適性に合った教育を施すべきであると論じている。独断的な部分も感じてしまう所もあるが、非常に分かりやすく書いてある。指摘に自分も当てはまる部分も多く、ギクリぎくり。

教育に関してもフィンランドや韓国など他国の事例を丁寧に解説している。

・大学まで入って何も学べていない
 オランダなどでは自立を促す教育が熱心に行われるとあるが、日本ではその自立心を育てる教育もない。なかった。一方で地域コミュニティの中で遊ぶような事も取り上げられた現代の子供達は違う世代に揉まれることもなく、自立も出来ない。世界のどこにも寄りどころがない心を持った子供達が生まれる。日本は伝統的社会が急速に崩壊し、それに変わる自立した個人主義が育たない国だ。子供達は社会スキルなしで外に放り出される。加えて大学偏差値偏重主義国家で、しかも大学を卒業したからといって世の中で必要なスキルなど何一つ学べていない。問題を発見して解決する能力や仲間と協力して進めていく能力も適正を見極める能力も何もかも。

・適切な職業量と学生の誘導が必要
 本の中で紹介されているドイツでは“中学の段階から大学進学コースであるギナジウム、職業教育コースの実科学校など4コースに別れる。(中略)ドイツでは専門職であるマイスター制度が残っており、マイスターになれば社会的地位も高く生活は安定しやすい。そして日本とは異なり、一つの職業ばかりに人材が集中し、せっかく技術を学んだのに職がないという事態にならないように一定の規制を行っている“日本では建築・土木業界が先細りなのにその学科をいまだに開設し続け、毎年1万人近い学生を卒業させている日本の大学というのは一体なんと効率が悪いのだろうか。生徒のためなのか学校存続のための教育なのか。国家としての戦略が全く感じられない。
 人間としての社会的スキルもなく育てられ、生活の基盤を作るはずの適正な職も技術も与えられず突然世の中に放り出される。放り出された先が待つのはこれまた同じように日本の教育を受けた日本人の集団だ。
これでは本当に多くの若者が自立出来ずに、心を壊すのは当然だと思う。

 「無縁社会」
「無縁社会」で書かれていることには誰にも遺体を引き取ってもらえない人は3万2000人にもなるという。法律的な用語では行旅死亡人という。かれらは孤独死ではあるがその後身元が分かっても遺骨を身寄りに引き取ってもらえない人が多いとのことだ。

 無縁社会は僕ら30代世代ならみんな感じていてもおかしくないのではないか。ほんの中でも述べられていたように、活動的な人間であっても、会社の中ではうまく機能していた人であっても無縁社会に陥ってしまうことがあるとの事例もしっかり描かれている。

 それだけではない、一緒に住んでいる人がいない時点でもその事態になる例も書かれている。僕だって車に敷かれて死んでしまったとしても3、4日は誰も気付かれないだろう。家で倒れたとしたらなおさらだ。僕らの世代が知らないユートピア化された昔の地縁に戻れるわけはない。
 心に刺さるなかなか重い本だった。

「無縁社会」の中では解答は出していない。その状況を出来るだけ正確に伝える姿勢を保っている。無縁社会はどこにでもあり、誰もが陥る怖さがある。

 しかし、無責任に言うのならば、もう少し能天気に考えてもいいと思うのだ。ツイッターでのつながりでもいい、現代なら現代での縁があるはず。それを大事に作って行けばいいではないかと思う。孤独死は一人だから孤独死になる。一人知り合えば自分も相手も二人助かるのだ。個人個人の事例は違っていて、物事は単純ではないけれど、明るい方に考えた方が気が楽だ。怖いのは手が差し伸べられないのではなくて、助けてともしくは人と関わろうという手を出せなくなったことの方が怖い

 手を自分から差し出せなくなった状況を作り出したのは日本社会だし、日本社会を作ったのは間違いなく日本の教育による部分が大きい。自分はその犠牲者だったなんて思いたくもないし、ましてや失われた僕らの世代には未来がないなんて考えたくもない。状況を打破するには自分で自分を育てるしかないじゃないかと思っているけれど、誰もが思い当たる部分あるんじゃないだろうか。
 日本の教育者&小さい子を持つ方には是非「なぜ日本の若者は自立出来ないのか」を読んで欲しいと思いました。

 駄文失礼。
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[2010/12/14 11:57] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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