上海日誌-61「上海の分譲・賃貸事情」

日本であれば賃貸住宅と分譲住宅の大きさや仕様は大きく異なる。日本の住宅設計においては初期の段階からその選択は戦略的に行われ、設計も異なれば法律も異なり、最終的に入居する人間も大きく異なってくる。一般の人が持つ言葉のイメージも大きく違うだろう。

しかし、中国には里弄などの古い住宅を含め多様な住居があろうとも、この賃貸と分譲による仕様区分の概念はないに等しい。

まず、上海におけるアパートの契約方法について。
今自分が住んでいる住宅は、一般人である大家が所有する部屋を借りている。大家が不動産会社に委託し、紹介料として家賃の35%を不動産会社に入居者が支払う仕組みになる。敷金は通常1か月、契約満了時には大体の場合返ってくる。家具、冷蔵庫やテレビ、洗濯機、エアコンなどは備え付けで、なにか問題があれば大家のお金で修理するのが一般的だ。

つまり今住んでいる住居は賃貸用に作られたものではなく、単に賃貸として出回っているだけなのだ。この賃貸の方法は非常に一般的で、日本のように8-10戸程度の小さなアパートを不動産会社や大家が経営するという仕組みは逆に少ない。レオ○レスが中国に進出しようとしていると聞いたが、日本のやり方では失敗するだろう。学生などのより低所得者層は2,3人で住むのが一般的だし、学生レベルなら同人房(ドウレンファン)と言われるドミトリー形式もある。

さて、ではなぜ賃貸供給がないのか、より選択肢があった方が不動産会社は儲かるのではないか?バブルの状態になっている住宅は恐ろしく高い。大学出の初任給が4-5000元の若年世帯の収入ではまず購入できない。そんな中で分譲住宅が売れるのか。

しかし、上海の人たちは住宅がなければ結婚できない。そんな面子の潰れたことは中国人の気質が許さないのだ。そのため一人っ子政策により一人に集中する資金が両家より住居に投入される。結婚は経済変動とあまり影響なく行われるので、デベロッパーはこの仕組みにより安定した販売が可能になる。加えて政府が抑制し始めているとはいえ投資目的の住宅購入も多いのだ。
このように分譲のみでも潤う仕組みが成り立っている。

おそらく税制の政策の観点からもいろいろと考察できることがあるだろうが、もし中国人の住宅の住まい方を徹底的に調査すればまた面白いことが分かってくるのではないだろうか。80後と呼ばれる一人っ子世代が世帯では、昔の大家族生活とは異なる住まい方となっている。昔からの考え、住居の大きさや形態と現代の生活習慣・考えの亀裂が表面化してくるころだ。
分譲住宅では対応しきれないはずだと思うのだが、賃貸の可能性はあるか。もしくは彼らは今住んでいる住宅を担保にして、新たな住宅を購入するのだろうか。ひとつ目の住宅は賃貸となり、ひとつ住宅が購入されるたび、賃貸住宅が1つ生まれるのだろうか。


(ちなみに分譲の場合、初期内装は全くなし、コンクリートむき出しのままで台所や風呂まで全部自分でカスタマイズしなければならない、日本よりもより自分仕様が可能になる。)同じ住棟でもそれぞれの住居の中に入れば全く違う。部屋選びは同じマンション内でもこれほど違うのかと衝撃を受ける。しかも家具を含む内装が大家の趣味で決まっているので、選ぶには何十件も見ないといけない。日本人としては不動産屋に以前の入居人が「外国人」という条件を付けるとハズレが少ない。これがコツ。
住宅設計に関しても完全スケルトン販売なのだから、実は日本よりも面白いことができそうだ。)
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[2010/08/26 13:03] | 上海日誌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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