五島 久賀島の旅
長崎県五島市、久賀島へ

五島市の中心の福江島から船で約20分にある久賀島。島全体が国の重要文化的景観に指定されている美しい島だ。美味しい魚、野菜、米と肉以外は何でも自前で食料が揃う島。一方で最盛期には5000人程いた人口も今では400人程となり、高齢化率も50%を超えている。小中学生は総勢僅か15人というように島の活力は失われつつある。山間の美しい棚田はその維持が難しくなり、徐々に荒廃している。こんな久賀島を訪れた。

久賀島は椿で有名な島だ。五島全体でも今は椿の栽培が盛んであり、椿は五島のシンボルの花ともなっているが、その中でも自生しているのは久賀島であり、民謡の中にも椿といえば久賀島というような表現で歌われている。
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亀河原椿林。ここは明治時代に植林したものもつく目て椿林が40ha(約12万本)に達している。江戸時代には椿を切る事は禁止され、椿から取れる椿油が地元の名産となっていた。現在では木が育ちすぎて、採集することは難しいだろう。(詳しくは分からないが、実がきちんとなるように、オリーブのようにきちんとした手入れと、年齢がある程度経って果実が実らなくなったものは間引き(伐採)するなどの管理も必要だろう)

椿猫
五島の公式マスコットとして、「つばきねこ」なるキャラクターがいる。椿の花が咲き誇る2月は島中が本当に美しく輝く とのことだ。




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椿の実

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中の状態を調べるため、実を石で割ってみる。

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種を割ってみると、白く、油が詰まった果肉が見える。この果肉に含まれる油分が椿油になる。適切な時期での採集が必要。

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本来は、採取した実を天日で干すと、勝手に内部から割れるので、そのあと種を取り出す。

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椿の絵がかかれた石。このように石が丸いのもこの島の特徴。お土産店にも売っていたが、こういったデザインは旅人には嬉しい。


商品となって店頭に並ぶ五島特産の椿油。
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顔や髪の手入れに効果抜群で、料理にも使われる。名物五島うどんの生成にも使われ、この椿油が味の決め手、だともいう。この椿油で天ぷらをすると、それはそれはトンでもなく美味しいそうだけれど、椿油で天ぷらすると、金額はどれぐらいになるだろう。JAで生産している椿油は100mlで1000円程だが、企業の化粧品用のビンにいれられると一気に30mlで2500円となる。ちなみに、久賀住民に聞いてみると自分で油を獲り、一升瓶(種7kg分)に詰めたものは5000円で資生堂が買い取るのだという。

 ここから分かるのはきちんとした地元産のブランド化が必要だろうと言う事。販売容器のデザインを変えるだけでも観光客への魅力は変わる。そして、その説明も重要で、歴史と景観、料理、など一体となって説明をしていくことがブランド化だろう。例えば、これにはヨーロッパでされている生産地認証制度を利用するなどでブランド化するとよいだろう。北海道でも始めているようだ。きちんと労働に見合ったお金で販売出来れば地元の人への収入源になる。
(参考:農業が地域に果たす役割(イタリア事例)
 椿油が収入源になれば、椿の手入れもより丁寧に行われる事になり、久賀島の景観に寄与することだろう。また、椿油の基となる実の品質も木の年齢や収穫時期によって異なる。また、五島では手で採取しているとのことだが、下に落ちたたものを拾って使っている島もあるという。栽培から採取、精製まで、きちんとしたコントロールの下できれば、ブランド化し、消費者にとっても非常に品質のよい商品が手に入るだろう。いまのままでは、島民にとっておこずかい程度の稼ぎであり、管理もボランティア中心、かつ儲けの部分は企業が持って行ってしまうという、あまり好ましくない循環になっているようにみえる。
 現在ある亀河原椿林の手入れを全て行っていくのは現実的に難しい、それよりも栽培や採取がしやすい棚田の椿棚への転用や、道路脇への植樹を進めて行く方が現実的だろう。村の人に聞くと現在も植樹が進められているとのことだが、椿の実が取れるまで十数年を要する。それまでコミュニティを維持しながら、進めていく必要があり、一筋縄にはいかないだろう。

【久賀の景色】
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住民の力で作られた折紙展望台。手作り郷土賞も受賞している。ちなみに、折紙展望台の先の先に1世帯、2人が住んでいるらしい。すんごいところに住んでいる。何かあったとき大丈夫かなぁ、とも思うが、村の人は島民がどんな人間がどのように、住んでいるか全て知っていることにも驚く。


五島牛。長崎牛は日本一の称号を得たと広告に書いてあり、五島で焼いて食べたが甘みがあり、確かに旨い!。
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村人の話によれば、一昔前には、子どもを産ませて売る為に、久賀島のどの家庭でも雌牛を一頭飼っていたとのことだが、現在ではJAがまとめて飼育している程度のようだ。

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石積みが特徴的、上部に丸石をつけているのは福江城(石田城)と一緒。城であればイザとなれば投石に使えるがここでは投石に使わないだろうから、デザインとして作られている。
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なにやらほっこりする恵比寿さん。

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美しい集落。五島は総じて屋根瓦をきっちり使っている。青色のトタン等が少なく、全体の風景が落ち着いて見えるのはこの屋根の統一感/落ち着きによるところも多いだろう。なおかつ、地震や台風等の自然災害も少ないので瓦屋根等、昔の素材でシッカリ残っていたこともあるだろう。しかし、過疎化でもう「人」より「家」の方が数が多くなってしまったという。また、久賀島は一つの集落で固まっているのではなく、島中に点在している。たった数軒での集落も多い。これは隠れキリスタンの背景(集落ごとに教義が違う歴史があった)からも、それぞれの集落があまり関係を持たずに暮らしているとのことなのだろう。少ない人口で、かつ物理的にも精神的にも分散しているというのが実情のようだ。食料は自給自足で多少なんとかなるが、島には商店もなく、宅配も困難。買い物は基本的に福江島まで行かねばならない。今は島民同士の助け合いで買い物や交通がなんとかなっているが、コミュニティから離れ、一人で暮らしている人は体調が悪くなっても対応出来ない。孤独死の可能性もある。民生員など通常のセーフティネットが期待出来ないのであれば、早期に郵便局員や宅配員が協力して安否確認できるシステムなどを構築する必要があるだろう。久賀島で400人の人口と書けば、まだ何とかなりそうでも、それが分散しているため、限界となる時期は早い。もう、訪れているといっていい。


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旧五輪教会堂。1881年に立てられた和の技術を持って作られた教会の傑作。昭和6年に今の位置に移築された。この教会は世界遺産登録候補の一つとなっている。ただただ美しく、大工の工夫にも圧倒させられる。しかし、非常にアクセスが悪い。船着き場から正反対の位置にあり、案内がなければ個人ではとても行けないだろう。バスも、レンタカーもない場所なのでタクシーかヒッチハイクで行くしかない。
 ただ、旧五輪教会堂の前には船着き場があり、その反対側には五島市の奈留島があり、同じく世界遺産登録登録候補の江上天主堂に近い船着き場がある。こちらの江上天主堂も公共フェリーが到着する船着き場からは遠く、アクセスが悪いのだが、もしこの二つが結ばれれば旅行者にとっては非常にありがたい。この交通路、出来ないかなぁ〜。


 今回の旅はラッキーなことにヒッチハイクをさせてくださった元村人の方がいたから旅が出来たけれど、そうでなければ正直、巡る事は難しい。このハードルを下げる事から始めていくことが久賀島観光には必要だろう。

ともあれ、久賀島は素晴らしい島だ。


※五島の美しさの一つに、ゴミが全く落ちていないことがある。この住民と観光客の意識の高さが五島を素晴らしいものにしている。ただ、訪問時は天気が余りよいとは言えず「五島の良さの20%も分からないよ」と島民に言われてしまった。また、行かないとなぁ〜。
[2013/08/27 11:26] | 日本 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
コミケ 84
今年のコミックマーケットは来場者は21万人を超えたという事だ。ビックサイトで行われているモーターショーは84万人とは言え、一日あたりにすれば8万人程。個人個人が自主的に集まって行う趣味の世界が日本一のイベントになった。本来商業ベースにのらない個人個人の活動が、個々の楽しもうという力から大企業の集客力を大きく越えているところがスゴい。
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郵便局も購入した本をすぐに発送出来るようにサービス。働く人の服もコミケに併せて萌えキャラに。
郵便局も変わったのか、それともコミケの運営がスゴいのか。
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海外からもコスプレイヤーが集まる。
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もちろん、こんな感じで皆さんが群がる。
(一声かけてとか、写真を送るとか色々写真を撮るにもルールがある)
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レイヤーさん達が一番集まるのは庭園。
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世界的に有名な自宅警備隊の方々


3日間で毎日サークルが入れ替わる。一日目は女性向けのBL系’(ボーイズラブ系)や一般漫画系が多いようだった。日に日に男性向けが多くなるとのこと。赤ん坊を手に持ちながら、BL系雑誌群を抜けるというのも不思議な光景。
ただ、特定の同人誌の為に恐ろしい程の行列を作っている姿には驚く。

ただ、このイベントを支えるスタッフのクオリティは尋常じゃなく素晴らしく、これだけの人数にも関わらず平和に行っていた。もちろんお客さんの参加も素晴らしい。戦争の道具を売るより、血気盛んでいるより、「萌え」を輸出し、萌えで生きていた方が、まぁ平和だろう。別の側面は知らないけれど。
[2013/08/11 23:11] | 建築・都市コラム | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
エベレストトレッキング
Everest Trekking
ゴーキョ+カラパタール展望台を巡る11日間。
人生最高のトレッキング。
(文章と写真をまとめて補充予定。現地からのメモ

Day 1
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Day 2
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Day 3
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Day 4 & Day 5
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Day 5
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Day 6
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Day 7
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Day 8
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Day 9
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[2013/08/10 01:39] | 旅コラム | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
「風立ちぬ」感想
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「風立ちぬ」を見てきた。
映画を見ている途中ずーと頭の中と心が苦しい思いをした。
強い感動と共に体の中に貯まったもどかしさ、文章にならないのだけれども、それでも感じたもの正体を僕自身が理解しなければならないように思う。

この映画は空想の世界ではなく戦前の日本が舞台。魔法も使えなければ、超人的な運動能力もない、等身大の人間しか出てこない。描かれる美しい風景は、空想ではなく、本当にあった現実の日本の姿だ。登場人物の所作が美しいのは、確かに日本にあったものだ。僕はその時代には生きてはいないけれど、日本が失ったものをは何かを突きつけられた。日本人のにある感性の糸が深いところで捉えられて動けなってしまう。

 主人公の声も担当した庵野監督は、この映画を「宮崎監督はやっと自分の中にあるドロドロしたもの出した」と評した。1本の映画に恐ろしい量のメッセージが詰め込まれている。メッセージを発しているというより、宮崎監督の子供の時から考えていた思い、ナウシカやもののけ姫で発したメッセージの根本にある「形のない感情、葛藤」そのものだったのだろう。ストーリーはそこに虚構性を持つ事で、実際に起きた事実よりも真実性を持つ。宮崎駿が自分の心のなかに深く潜って彼の中の真実を取り出し、それをアニメーションという虚構を通して我々にぶつけてくれた。この映画を見たあと、僕は真っ暗な葛藤の中で思考の上下左右が分からなくなってしまった。それほどの大きな自己矛盾の葛藤だった。人間が言葉に出来ることなど、「極僅か」しかない。それこそが映画のメッセージ性なのだと思う。 

映画の最後に流れるユーミンの主題歌「ひこうき雲」が頭から離れない。
この歌詞は堀越二郎と菜穂子の二人を歌っている。この映画は堀越二郎と掘辰雄に敬意を込めてつくられておる。堀越二郎は実在する人物だが、菜穂子は堀辰雄の小説「風立ちぬ」に出てくる架空の人物。小説と歌、作られた時代は全く違うが、菜穂子は「ひこうき雲」の歌詞から生まれたような人物だ。
内容に触れないように割愛するが、掘二郎が空という夢を追う人だったのにたいし、菜穂子な能力を持たない市井の人間、むしろ薄幸だった。主人公二郎の声を演じる庵野が無表情で、抑揚の声であるのに対し、菜穂子の声優 瀧本は情熱と強い意志を感じる声だ。激動の時代に、不遇の状況にありながら菜穂子がどう美しく生きたのかを描く事で、人間の尊厳の美しさを見せてくれた。「ひこうき雲」の歌詞が響く。


「白い坂道が空まで続いていた
ゆらゆらかげろうが
あの子を包む
誰も気づかず ただひとり
あの子は昇ってゆく
何もおそれない そして舞い上がる

空に憧れて 空をかけていく
あの子の命はひこうき雲」

この歌は堀越二郎と菜穂子。その対照的な二人を併せたことで、二人が生きた時代を表した歌になった。

この映画には、きちんと2時間使って見て欲しい。

「美しいもの」って何だ
「生きる」って何だ。
「一日一日を大切に生きる」って何だ

「いきねば」
[2013/08/10 00:48] | 日本 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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