イタリア日誌86-「イタリアの地方分権」
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先ずは基本データから。(wiki, google 統計データ、italiaのwikiより)

日本の人口約1億2780万人、47都道府県、1,719自治体(市町村)
イタリアは人口約6100万人 20の州110の県、8.092自治体(コムーネ)


イタリア人と話す時に、日本とイタリアの違いとして中央集権と地方分権の話をする時がある。日本もイタリアも国が成立する約150年前にはそれぞれ藩とコムーネとして、各地方自治体が自立していた。しかし、日本は明治維新を経て国の形を中央集権のシステムに変えた。イタリアは特にムッソリーニのファシストの時代に中央集権を試みたが、根強いカンパニリズモ(郷土主義)によって、本質的に根付かなかった。

 例えば、未だに全員が共通イタリア語を話せるわけではない。例えば2006年に行われた国勢調査でもイタリア人でイタリア語のみ、あるいは主にイタリア語を話している割合は10歳以下の児童で68パーセント、75歳以上におけるその割合はわずかに28パーセントだったそうだ。このように国がそれぞれ統一されているというより、多くのコムーネの集合体である。歴史的に隣の街は長年の宿敵であったこともあり、まとまるという感覚が希薄かもしれない。ただ、良く言えば地方分権が日本よりも確立している。イタリアは2001年に憲法が改正されて地方分権が完成した。改正された憲法第114条は 「共和国は、コムーネ、県、大都市、州、および国から成り立つ」とコムーネと国が並列に記載されている。日本の東京一極主義とはまるで違う。しかも、多くの場合、実施的な運営はコムーネによっており、力関係も大きなコムーネの方が県よりも強く、その独自性を保つ一方で、小さなコムーネは運営能力に難があってもサポートが受けにくい。

 10万人以上の都市はイタリアでは大都市であり、合計38都市ある。それに対して日本は265都市。10万人以上の都市に住む人口はイタリアが25%であるのに、日本は75%となっている。このように日本は都市化が進み、一極集中、中央集権の仕組みを作り上げている。(これにはもちろん日本が30%程度しか平地がないことに対して、イタリアは山岳地でも丘のようなものなので居住が可能であるという地形的な問題もある)。

 東京圏は約3700万人住む世界最大の都市圏。日本の人口約1億2800万のうち1/4以上が住んでいる訳だ。これを人口約6100万人のイタリアに当てはめると、ローマに1800万人ほど住んでいる計算になる。現在のローマ圏の人口350万人のざっと5倍だ。それも、政治も法廷も商業、ファッションもアート機能も全てローマに一極集中している。ローマにフィレンツェとミラノとベネチアを足してもまだ足りない。そんな一極集中の都市が東京なのだ。


と、イタリア人に説明すると、驚きと共に国の構造とそれに付随する考え方の違いを納得してくれる。
[2013/01/29 07:56] | イタリア | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
イタリア日誌85-「鍋という日本の食文化」
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白菜自体は中国の食材屋さんでは見る事が出来たんだけれど、イタリアで白菜が近所の八百屋さん(スーパーではなくて直産、自然食材屋というイメージ)でも売られるようになったのを見つけ鍋生活が始まる。ここで気づいたのが2点。


 1,日本人の冬の食生活に欠かせない白菜だがイタリアではまだまだ認知度が低い。八百屋さんにどうやって食べるのかを聞かれ、説明する。周りの人にも説明し、白菜の売り上げに貢献した。つまり、白菜単体(ハード)だけではなく作り方(ソフト)も含めて販売しないといけない。単体だけではなく、周辺機器(醤油等か味噌)も置いておくだけで目的の品も売られるようになる。実際長ネギは購入されていった。
 イタリアでも醤油はどのスーパーでも売っているぐらい一般的。ほかの調味料(ダシなど)は中華食材屋に行けば見つかるのだけれども、イタリア人にはハードル高いかな?

 2, テーブルコンロが欲しい。キッチンとの往復が面倒なのと、やはり、鍋って 囲炉裏のある住居から生まれた「食文化」なんだよね。しかも、人と顔を合わせて、同じものを食べるという社会的側面も持ち合わせている。日本の文化食。ま、一人なんだけど。



作るのは楽だし、片付けも楽、ただ、食べるのに時間がかかるし、汁が飛ぶ可能性があるので作業しながら食べるのは困難。一人で食べるもんじゃないな。
[2013/01/28 01:29] | イタリア | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
イタリア日誌–84【家電を見せるか見せないか」
 イタリアの一般家庭では冷蔵庫が家具と一体になっている。
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写真の棚はオーブンの左側が普通の戸棚で右側が冷蔵庫、右下は冷凍庫。)これは別に新しい動きではなくて一般的。冷蔵庫を見せるのはみっともないものという認識でしょう。
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扉を明けるとそのまま冷蔵庫の扉が開く。 

日本でも日本家屋と家電のデザインがあわないことからAmadanaみたいな美しい家電ブームが生まれてきたけれど、そもそも家具を見せないという手もある。デザインの調整がしやすいだけでなく、冷蔵庫と周辺の棚と冷蔵庫の隙間も生まれていたのが回避できるし有効にスペースが使える。実施あたっては家電とキッチンメーカーと一緒に規格を決めないといけないけれど、日本だって食洗器やオーブンはもはやキッチンに組み込まれているわけなのだから、日本の冷蔵庫だって出来る気がするのだが。どうでしょう?


ヨーロッパサイズの冷蔵庫は横幅が小さめではあるけれど、日本は冷凍庫を含め大容量を望む傾向があるので棚のモジュールを会わせるのが大変かもしれません。けれど調整は可能なはずだ。ここはキッチンメーカーが先導的に、家電メーカーと組んで進めてほしいところ。設計者としても整理出来たら嬉しい。家電メーカーも外観のデザインを考えずに規格化出来るし、機能を追い求められるしメリットもあるでしょう。何が問題になっているのだろうか?


 この家主のイタリア人の場合だと、修理する時に通常より1.5倍ぐらいが費用が掛かるというけれど、「美しいからいいでしょ!」という。けれど日本では、家電は性能を重視する消耗品であり、家具ではなくあくまで機械の部類に属している印象がある。新しいものが安く出るたびに購入し交換し続ける感覚が、家具と一体的に長く使用するという考え方を薄れさせているようだ。また引っ越しなどの時に、家具付きという慣習がないことがあるだろう。


 こんなwebで意見を述べたところ、20年以上イタリアに住む日本人の方から、"これはシステムキッチンブーム時の名残りという側面があり、この10年くらいは冷蔵庫は独立させることがトレンドです。なんとなく温かみがある、という受け方ですね。だからこそ、それなりのデザインの冷蔵庫が欲しいという方向にもいきます。いずれにせよ、システムキッチンで統一感を出すより、凸凹のある空間がいいよね、というトレンドにあるのは確かです"という言葉を頂いた。上述した一体化の考えとは180°異なる考え方だ。

 デザインの好みはトレンドによって変わるという事と、多くのデザイナーの努力により冷蔵庫が性能重視の「機械」ではなく、美しい「家具」という認識に変わってきたということを示唆している。この「もの自体を隠す」と「単体デザイン強化」について考えて見たい。

冷蔵庫以外にも日本では隠したくなるものが多い。オーディオのスピーカーやコードはこれまたミニマムな住宅設計時に頭をなやませる。(素晴らしいオーディオは置いていた方が映えるけれど)この分野で設計を変えてくれそうなのが壁自体をスピーカーに変えてしまう装置SolidDriveだ。http://www.soliddrive.com/ 
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この装置を板の後ろに貼付ければ、その板自体がスピーカーに変身する。


これなら、スピーカーを設置しなくても壁の裏側、柱と柱の間に装置を組み込めばいい。木造と合板が一般的な日本家屋の設計には相当役立つアイテムだと思う。もちろん音が家全体に響いてしまうので、子供部屋等との関係に注意が必要だがオススメしたい。また、このスピーカーのタイプは日本では緊急避難放送用にも使えるとのことだ。このように見せたくないが設置が必要なものをどんどん隠せるような時代になってきた。そのうち煙感知器なども隠せるようになるだろう。

 イタリアは住宅が古いので現代の機器に対応出来ていないものが多い。その代表格なのはエアコンだ。それも特に外部に出てくる室外機。日本の集合住宅ではいかに室外機を見せないように綺麗に納めるかを考えるけれども、イタリアではベランダがあっても、エアコンがなかった時代のベランダばかりで、室外機を壁に取り付けるので丸見えであることが多い。日本では住宅設計で対応しているが、それが叶わないイタリアではせめて室外機の色をレンガ色に近づけたり、外装の材料を変える等の工夫もする事が考えて行くべきではないだろうか。もっと、日本の空調メーカーのDAIKINなどはこの違いを考えてほしい。

 いかに家具や機器を住宅に融合していくか、「機器自体を隠す」と「機器自体のデザイン」の二つの手法がある。どちらも必要な手法だけれども、今後は後者へ傾いていくようだろうか?

 いや、上記で考えてきたように、必要条件となる機能は隠し、人が触れるものは趣味趣向にあわせデザインしていくという二極化が進むと僕は考えている。
[2013/01/21 01:46] | イタリア | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ルッカ_2_幾何学形態と空間の質
空から見ても美しいものが地上からみても美しいとは限らない。

航空写真を見て凄い!と思うような街に実際に言ってみるとがっかりする事もある。
たとえばイスラエルのナハーラル(Naharal)、イタリアの理想都市パルマノーバ(Palmanova)もそうだった。考えると「きっと」そういうもの。(リンク先は現地のレポート)


LuccaのAnfiteatro広場もそうだ。空からの映像で見ると、驚きそして、行ってみたくなる。
s-Ariel-view-of-Lucca_20130119023626.jpg(写真はイタリアの旅行サイトより)


しかし、中から眺めてみると何か寂しさ、もの足りなさを感じてしまう。
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(内部から見るとこんな感じに見える)
この楕円形の広場と集合住宅は始めから計画されて建設されたものではない。
この形態は2世紀に作られたローマ時代のアリーナ、19世紀になって集合住宅として成立したものだ。(古地図の中では16世紀に既に住宅の形が形成されているので、19世紀に一気に変更されたのではなく、14世紀以後の拡張時に住宅化されているはず)。
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 外周を見るとローマ時代の遺構が残っているのが良く分かる。
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 ルッカの都市史の本の中ではこの集合住宅は絶賛されているのだが、もっとうまく出来なかったものかだろうか?

 この形態と、内部のアクティビティに相関性がないのが魅力的な空間ではない一番の原因だろう。イタリアの地元のお祭り「パリオ」が広場で行われる訳でもないし、住宅の窓と広場との関係のなく、真ん中には噴水すらない味気のない空き地になっている。せめて舗装を再デザインするだけでも変わってくるとおもうのだが、残念。
 このような楕円形に近い形の秀逸な集合住宅として、ベルリンの馬蹄形で作られたブルーノタウトの作品は忘れられない。過去のフィヨルドの地形と一体となった形態には実に感動した。魅力的な空間と形態には、機能や周辺環境との調和が必要、と再確認。

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(航空写真はwikiより)
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内部は緑が美しい。

 このベルリンの集合住宅も”ベルリンのモダニズム集合住宅群”として20008年に世界遺産に登録されていたようだ。
[2013/01/19 02:45] | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
魅力的なルッカ(Lucca)
ルッカは非常に素晴らしい街。イタリアで行くべき10都市の中には入れたい。
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駅を降りてすぐに街の城壁の美しさにハッと息をのむ。
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イタリアにはルネサンス式の城壁が残っている都市は2つしかない。フェッラーラとルッカである。
その周長はフェッラーラの半分ほどの距離だが、非常に美しい形で残っている。
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ナポレオン時代に城壁から防衛機能が取り払われ、樹木が植えられた。イタリアとナポレオンは余り関係がないように思われるが、ナポレオンはイタリア北西部をイタリア王国(Regno d'Italia)として1805年-1814年まで10年程支配しているため。そのため、彼の影響をイタリア各地で見られる。
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城壁の上では多くの市民が散歩を楽しむ。

都市の拡張と共に城壁も拡張されていった。大きく4期に分ける事が出来る。
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南側からの防御を重視していたため、北側には大砲への防御が考えられていなかった8世紀の城壁も残っている。
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palazzo Guinigi
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13世紀に中世の形として作られ、現在の形に作られたのが16世紀。500年前から続く空中庭園だ。この塔には驚かされた。5本のholm-oaksが植えられている。庭園のために一辺に多くの人間は上がれないけれども、頂上からは素晴らしい街を一望出来る。てっぺんにあるので水やりは現在は水道で行われているが、ちょっと水漏れ気味。
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人が交差する幅もない。
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塔の頂部からの風景。上部に見える葉っぱは塔に設置されたオークの木。
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都市の書籍も購入した。ルッカはフェッラーラと共に研究しがいがある街だ。
[2013/01/19 02:14] | -都市 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
世界の工事現場から08~~ネパール、エベレスト街道~
ネパール、エベレスト街道

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 標高3000mを越える場所、エベレストベースキャンプの近辺では5000mをこす場所にもレストランがある。
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 こんな高地に建築資材を運ぶのはヤク(牛)がいるとはいえ困難。建築資材はは出来るだけ現地で用意するのが良い。
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 建築資材となる石材は現地で1つ1つ正方形に削られて建築資材になる。気の遠くなるような話だが、実は効率は悪くない。右下のテントで加工している。
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少々、現地の建築のスタイル変わっているが良しとしたい。今、景観上懸案しているのは石の屋根だったものが、簡単に設置できるということで、トタンの屋根に変わって行くこと。少々不安を感じている。
(山岳地の景観に対する意見)


美しい風景に、美しい集落が在ってほしい。
[2013/01/02 16:02] | 世界の工事現場から | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
世界の工事現場から07~日本、東京~
首都高5号線の工事現場。
巨大な巨大な地下空間。空気を入れ替える為のシャフトは500mおきに、地上部にはタワーも作られている。
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ただ、これを作る為にどれだけ時間がかかっていることか。工事の現場は着実に、しっかりと進んでいるけれど、それを取り巻く環境に難がある。毎日、道路を開けては、夜間に掃除。集中して工事ができれば、短期間に出来て利便性がすぐ向上するだけでなく、経済的負荷も、環境的負荷も少なくてすむのに。
 日本では多くの地下空間の工事が進んでいる。東京の下にだけ、巨大な蟻の巣があるかのようだ。
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[2013/01/02 01:27] | 世界の工事現場から | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
世界の建築現場から06~中国、上海~
中国、上海

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中国での建築に関してはいろいろいいたいこともあるけれど、たとえば(参照)
上海日誌-75「上海大火」
上海日誌-27「顔を立てるのか、建築を建てるのか」
上海日誌-17「カレー粉を掛けると何でもカレーになる事と中国建築デザインが関係している件」


よくいえば緩やかだ。


外部の漆喰を塗っている風景だが、材料は土の上で混ぜて作る。コンクリートも同様だ。のどかな風景。
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そして中国の工事現場に欠かせないのが、この安全帽着用ポスター。
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[2013/01/01 23:52] | 世界の工事現場から | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
世界の建築現場から05~中国、香港~
中国、香港
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狭い土地に700万人もの人口を抱える香港は人口密度は6,460人/km2 東京と同等の人口密度だ。ビジネスエリアだけでなく、居住地も高層住宅となる。
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香港の工事現場言えば竹の足組。このような高層ビルの足場も竹で組みあげていく。近年では日本と同じように単管も増えてきたようだけれども、まだまだ主力は竹の足組だ。安く、軽く、長く、しなやか、しかも環境面で優れている。こう長所を述べると竹の足場が本当に良いものに思えてくる。


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竹と鋼管のミックス

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やはり竹は軽い。

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日本と違って、工事現場の周辺が使えるので羨ましい。
[2013/01/01 23:41] | 世界の工事現場から | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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